地方都市の基準地価上昇と再開発による都市間格差

2024年の基準地価が国土交通省により9月17日に公表されました。

これらのデータを読み解くことで、今年の地価傾向をある程度把握することができます。今回は都市圏ではなく地方都市にフォーカスし、分析してみました。

 

広がる地方都市の地価上昇傾向

2024年の基準地価の調査結果では、地方圏全体の地価が32年ぶりに上昇し、特に中国地方や九州地方の都市で顕著な地価の伸びが確認されました。広島市や岡山市などでは再開発が進んでおり、特に商業地価の上昇が目立つ結果となっています。

広島市では、広島駅周辺の大規模な再開発プロジェクトが進行中で、2025年春に新駅ビルが開業する予定です。これにより、広島駅南口付近の地価は10.8%も上昇しています。

また、岡山市でも同様に商業地価が0.9%上昇し、市役所筋周辺での再開発によって6.6%の地価上昇が記録されています。

※広島駅ビル完成イメージ

画像参照:JR西日本 広島駅ビル開発 https://www.westjr.co.jp/railroad/project/project_hiroshima/progress/#hiroshimaeki

 

地方都市の二極化現象

一方で、地方都市の地価上昇が一部の都市に限られていることも明らかです。鳥取市では、基準地価が全国の県庁所在地で最も低く、地価は33年連続で下落しています。特に商業地や住宅地では、需要の減少が顕著で、空き店舗や空き事務所が増加傾向です。

こうした現象は、都市部と過疎地の間での「二極化」が進んでいることを示しており、広島や岡山のような都市が経済的に活性化する一方で、鳥取や島根などの一部地域では経済の停滞が続いている状況です。

下記は中国地方の2023年→2024年の基準地価変動率をグラフにしたものですが、二極化していることが一目瞭然ですね。

 

観光需要と半導体産業の影響

地価上昇のもう一つの要因として、訪日外国人観光客の増加と半導体産業の進展が挙げられます。長野県の白馬村では、観光客の増加によって地価が大幅に上昇しており、白馬村のペンションエリアでは30.2%という驚異的な地価上昇が記録されました。また、周辺の住宅地にもその影響が波及しています​。要因としては、外国人観光客の増加により、ホテル開発が進み、労働者の住宅需要が増していることが考えられます。

さらに、熊本県の菊陽町では、台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設が地価上昇の一因となり、同町の地価は16.9%上昇しています。工場で働く人々の住宅需要や、周辺地域での商業施設の開発が進んでいることも地価上昇に寄与していると考えられます。

 

自然災害が与える地価への影響

自然災害による地価の下落も見られます。特に石川県では、能登半島地震や富山県高岡市での液状化被害が地価に大きな影響を及ぼし、住宅地の地価が最大14.8%下落しています。また、豪雨による被害を受けた福島県いわき市や福岡県久留米市の一部の地域では影響を受けており、福島県いわき市で7.5%下落、福岡県久留米市で4.7%下落しているエリアがありました。

 

不動産投資の観点から見ると………

不動産投資目線でこれらのデータを見ると、現在進行形で経済発展をしている or 経済発展が期待できるエリアで不動産投資をするのが無難といえます。

自然災害については、突発的なケースが多いため避けようがないですが、これから伸びるエリアは想像しやすいです。再開発が計画されているエリアを中心に不動産投資をし、逆に経済停滞、人口流出エリアは避けた方がよいといえるでしょう。

文: 東京支店 向原

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