平成30年1月16日に法務大臣の諮問機関である法制審議会が民法改正要綱案を出しました。親の面倒を見てくれたお嫁さんにも法定相続分を付けようとか、配偶者の法定相続分を増やそうという案が出ているという改正案記事はこれまでも出ていましたが、『居住権という新たな権利創設』には、正直かなりびっくりし、大いに考えさせられました。
簡単に言うと、母親一人、子一人の場合、法定相続分はそれぞれ2分の1ですが、父親死亡後、母親がその家を相続し住み続ける場合、家の相続評価額が全体の2分の1であれば、残る金融資産など2分の1は子供が相続となり、母親に生活していく資金が確保できないため、『居住権として、配偶者の生活住居を確保した上で、金融資産の確保もできるようにする』制度です。
通常、残る母親の生活は子供が扶養するのが当たり前で、『そもそも母親の生活費をなくしてまで子供が法定相続分を取ってしまうことなんかない。』と、思われる方がほとんどだと思います。なぜ、このような制度が必要になってきているかというと、再婚により後妻と前妻の子供の仲が、うまくいっていないケースが多いからです。子供にしてみれば、後妻を嫌っていた場合、父親が死んだら家から追い出そうと考えているケースも多いのです。
この他にも、『自筆遺言書を法務局が預かるサービスの開始』や、配偶者が遺言や生前贈与で居住用財産を取得している場合、『相続財産から切り離し、分割協議の対象にしない』など画期的な案となっています。この改正案は1月開会の通常国会に民法改正案、関連法案として提出される予定です。
この他にも、民法は大きく改正されてきています。しっかりと勉強・理解をして、トラブルを防ぐご提案に努めてまいりますので、お気軽にご相談にお越し下さい。