「人口減少時代の意外な現象:世帯数増加がもたらす不動産市場の変化と注意点」
これまでのブログでは、人口動態や地価動向データ等を読み解き、本社がある広島で不動産投資をするならどのエリアが良いかについて考察をしてきました。
人口動態について、簡単に振り返りをします。
- 日本の人口は減少傾向。2100年まで減少傾向が続くと予測されている。
- 人口が増加する見込みがあるのは東京都と福岡市。
- 広島県も減少傾向だが、エリアを細分化すると人口が上昇しているエリアもある。
人口が減少していくのは避けられませんが、地域ごとにデータを細分化していくと、人口増加エリアと人口減少エリアに分かれており、将来性がない人口減少エリアではなく、人口増加エリアに絞って不動産投資をしましょうという話でしたね。
不動産投資では、投資物件の収益力が非常に重要であり、常に満室稼働を目指して賃貸経営をしていくわけですが、投資物件エリアの賃貸需要を考えるうえで大事な要素は人口だけではなく、世帯数も重要になってきます。
今回は世帯数をテーマに、考察をしていきます。
■全国の世帯数の変化
2020年の国勢調査(※5年ごとに調査されている)によると、日本の人口は5年間(2015年→2020年)で約86万人減少していますが、世帯数は約227万人増加しています。
また、1世帯当たりの人員は2.27人で減少傾向であることがわかっています。(※2015年の1世帯当たりの人員は2.38人。)
世帯数増加率、上位3県は沖縄県、東京都、埼玉県で、下位3県は高知県、秋田県、長崎県です。ちなみに広島県は26位です。
日本の人口は減少傾向ではありますが、世帯数は実は増加傾向なわけです。
世帯数が増えればもちろん、生活するために必要な賃貸住宅の戸数も増えるわけで、世帯数増加エリアでは、高い賃貸需要が期待できるわけです。
■世帯数が増加する要因
世帯数が増加しているのは以下の理由が考えられます。
①単身世帯の増加
⇒若者の晩婚化、未婚率の上昇
②高齢者世帯の増加
⇒高齢化社会が進む中で、夫婦のみ、もしくは配偶者を失った高齢者の単身世帯の増加
③核家族化の進行
■広島市の人口と世帯数変化
広島市の人口と世帯数の推移を確認してみましょう。
〇広島市 人口推移
広島市の人口は2019年をピークに減少傾向です。世帯数の推移は……
〇広島市 世帯数推移
広島市の人口は減少していますが、15年間で5万世帯上昇していることがわかります。
■単身世帯の年代は?若者 or 高齢者どっちが多い?
先ほどのグラフだけを見ると、広島市は世帯数が上昇しているし、広島市ならどのエリアでも高い賃貸需要が期待できそうと考えてしまいますが、ほかにも考えなければならない要素があります。
世帯数が増加しているということは、単身世帯が増加しているわけですが、若者の単身世帯が多いのか、高齢者の単身世帯が多いのかも考慮する必要があります。
なぜなら基本的に進学、就職、仕事関係による引っ越しは若者のほうが多く、賃貸需要に関係してくるのは高齢者ではなく、若い世代だからです。
〇年齢別 単身世帯の割合
こちらのグラフは国勢調査のデータを基に年齢別の単身世帯の割合を示したものです。
確認すると一目瞭然ですね。
- 人口増加エリア(東京都)⇒20~30歳の世代が多い。
- 人口減少エリア(秋田県)⇒65歳以上の世代が多い。
たとえ世帯数が増加しているエリアだとしても、人口が流出しており、衰退しているエリアでは、単身高齢者の割合が多く賃貸需要はあまり期待できないと考えられます。
これらを踏まえたうえで、広島市内の世帯数の変動率と年齢別単身世帯の割合を確認してみましょう。
〇広島市 エリア別 世帯数変動率(2013年→2023年)
〇広島市 エリア別 年齢別 単身世帯の割合
これらのグラフから以下のことがわかります。
- 広島市内では、安芸区と安佐北区以外は世帯数が上昇している。
- 中区、南区、安佐南区、佐伯区では若者単身世帯が多い。
- 安芸区、安佐北区、東区では高齢者単身世帯が多いため注意が必要。
中区、南区、安佐南区、佐伯区は過去ブログでも話していますが、人口増加エリアです。
これら4つの区が広島市の中で人口・世帯数共に増加しており、若者単身世帯も多く、高い賃貸需要が期待できるため、不動産投資先としてお勧めできるエリアになります。
ただし!これら4つの区内でも細分化すると人口・世帯数が増加エリアと減少エリアに分かれているため、注意が必要です‼
各区ごとの詳細はまた別の機会でお話しできたらと思います♪
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文:株式会社椿不動産 東京支店 向原