生前の贈与契約により相続人のいない土地を国のものに
2019年6月15日付 中国新聞朝刊記事によると
財務省は14日、相続人がいないと見込まれる土地の持ち主が、国へ贈与する契約を生前に結べるようにする仕組みを整備する方針を発表した。2020年度にも制度の運用を始める。
登記が長年放置された所有者不明の土地が増えていることに対応し国有化を進めて問題の拡大を防ぐ狙いがある。
詳細は財務省HPにレポートがある
https://www.mof.go.jp/whats_new/201906.htm
財政制度等審議会 第47回国有財産分科会(令和元年6月14日開催)資料一覧
さて、新聞記事の見出しだけ読むと、何でも引き取ってくれるように見えるが、現実には条件がある。
民法では相続人が居なかったり、相続人が相続を放棄したりした不動産は国庫に帰属する決まりがあるが、親族や利害関係人の申立に基づき裁判所が相続財産管理人を選任し、相続財産管理人が相続財産の管理や処分を行う。財産を整理した後の残余財産は、一定の手続きを経た後に国庫に帰属することとなり、現状においても国が国庫帰属となる土地を受け入れている。
しかし、親族や利害関係者からの裁判所への申立は面倒でなかなか進んでいないのが実情。
今後大量相続時代に手続きが滞って所有者不明の土地が増える可能性がある。
簡略した条件だが
a.相続税の物納の条件を満たすもの
b.適切な管理がなされているもの
c.周辺環境に問題がないもの
など、高齢者の自宅を想定したものである。
極端に荒れて管理費がかかる物件でない限り、引き取り手がない不動産を死後に国へ渡す契約を予め交わせるようにする。
手放しやすい遊休地などは生前、相続段階にかかわらず、一定の価値があって売却容易なものを対象として国への寄付を受け入れる。
運用が始まれば、不要な国有地が増えるため、近隣者への持ち込みによる情報提供、不動産情報サイトと連携などインターネットを活用した情報発信、入札で不調となり随意契約で売却される財産についての仲介業者の活用など、これまで以上に積極的情報発信・買い手の探索に取り組む。
と書かれており、市場で売却が可能な不動産に限られるようだ。
国も取得した土地が増えれば増えるほど管理費が膨大となるため、少しでも早く手放したいのが心情。