世帯数は2023年がピークで今後減少する
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の世帯数の将来推計」によると、日本の世帯数は2023年がピークであり、2023年の世帯数5,418.9万世帯が2040年には5,075.7万世帯になることが推計されている。なんと17年で340万世帯が消えてなくなるのである。
日本の人口も2008年をピークに減少に転じている。
この人口減少、世帯数減少、出生率低下、少子高齢化による日本の将来はどうなるか、不動産に関わる影響を考えてみる。
状況はこう変わる…
「世帯数の減少=空き家が増える」ことを意味します。人が住んでいた住宅が空くのです。
これまでは団塊世代の実家(殆どが田舎)が空き家になっていました。農地や山林を含む田舎の不動産は売却が難しく放置状態の方も多いのではないでしょうか。
これからは団塊世代が亡くなり、街中の家が空き家になるのです。
65歳以上の単身者世帯が増加傾向にあります。単身者世帯はその方が亡くなるとそのまま空き家になる確率が高いことを意味します。
都会に出て就職して結婚し、マイホームを取得。分譲マンションや郊外の一戸建てを購入し定年の前に住宅ローンを完済。子供達は独立しマイホームを取得済み、その際に資金援助もしている。その団塊世代のマイホームが空き家になると、子供達は既に自宅が有るため、そこに住む者は居ないのです。
街中の住宅(マンションも)が空き家になっていく。空き家が増えるということは、需要に対して供給が増えるため、不動産価格の下落が始まります。
当然売れない不動産も出てくるだろうし、建物の傷みが酷くそのまま使用できず、かと言って更地にする費用がないなどで相続放棄する者も現れるだろう。
ただし、相続を放棄しても相続人に不動産の管理責任は免れない。それでも放置される空き家は増え、危険な空き家が増える。
マンションで空室が増えると、管理費や修繕積立金の未収が増え管理状況が悪くなり最悪スラム化することもあるだろう。
行政は何をしているのか
相続登記の義務化
国は相続人に連絡が取れない又は相続人が誰かわからない状況を減らすため、相続が発生した際に登記名義の変更を義務付けるように、民法と不動産登記法改正をしました。施行は2024年4月1日からとなり、相続発生後3年以内の登記名義変更を怠ると罰則(10万円以下の過料)があります。
更に過去に相続して登記を放置している人も対象となり、早めに相続登記を完了させる必要性がある。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
相続土地国庫帰属制度の創設
相続土地国庫帰属制度により、相続したくない土地を国に引き取ってもらう事が可能になる。ただし、更地で境界が分かり、10年分の管理費(20万円の予定)を収めること等条件があり、何でもかんでも引き取ってくれるわけではない。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html
放置空き家対策
「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を 閣議決定
https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000160.html
状態が悪化する前の早い段階で放置空き家の改善指導や勧告したり、固定資産税優遇を解除できるように法改正
放置された空き家が管理されずに状態が悪くなると、行政により改善の指導があり、それでも是正されない場合は勧告し、固定資産税の住宅用地特例が解除されます。
これまで建物が建っていれば、土地の固定資産税は6分の1(都市計画税は3分の1)に減額されていましたが、今後は建物があっても管理が悪いと減額されなくなります。
自分でできる対策は?
世帯数や人口はだんだん減るので、空き家もだんだん増えていく。
マンションを空き家で放置すると管理費や修繕積立金、固定資産税などの固定費や一時負担の修繕費用が発生したりすることも有り、持ち続けると出費がかさむ。
一戸建ては人が住まなくなると劣化が激しくなり早く朽ちていく。放置するだけ修繕費用が嵩むし、最後は建物を解体する費用が発生する。
少しでも早く売却するのが吉。
相続が発生する前に売却する方法を検討しよう。
親が元気なうちに、万一認知症になっても施設に入る時に自宅を売却できるようにしておく方法の家族信託や余裕がある場合は、子供を任意後見人にしておくなど、早い対策が残された者の負担を軽くする。
相談先
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- 相続前の対策(任意後見、家族信託、遺言等)のご相談は行政書士法人ライフへ
- 不動産の査定、有効利用、相続対策は株式会社椿不動産へ
- 高齢者施設への入居相談は株式会社ライフプラスへ
- 相続が発生したら、相続手続きのご依頼は行政書士法人ライフへ
- 相続後の不動産処分、有効活用は株式会社椿不動産へ
参考
国立社会保障・人口問題研究所
https://www.ipss.go.jp/index.asp
日本の世帯数の将来推計(全国推計)」
https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/hprj2018_PR.pdf
総務省 2020年国勢調査
家族類型別・年代別持ち家割合 総務省 統計局 統計トピックス
https://www.stat.go.jp/data/topics/index.html
総務省 日本の人口のピークは平成20年(2008年)
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1191.html
相続土地国庫帰属制度について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html
相続土地国庫帰属制度の負担金
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html