土砂災害特別警戒区域ではフラット35Sが利用できなくなる
国土交通省は「既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成及び消費者保護の充実に関する小委員会」で土砂災害の危険が高い区域での優遇措置を除外する方針
背景
近年災害が頻発化・激甚化しており、住宅における大規模な被害が発生している。
住宅の災害時の機能継続を確保し、避難所利用者数を低減する事が重要
長期優良住宅の認定基準は建物について求められているものの、災害対策についての基準は定めがない
近年の災害とそれによる住宅被害の状況
災害 | 年月 | 全壊 | 半壊 |
---|---|---|---|
平成30年7月豪雨 | H30.7 | 6,783 | 11,346 |
令和元年8月の前線に伴う大雨 | R1.8 | 95 | 882 |
令和元年房総半島台風 | R1.9 | 391 | 4,204 |
令和元年東日本台風 | R1.10 | 3,308 | 30,024 |
令和2年7月豪雨 | R2.7 | 1,234 | 4,676 |
※国交省資料(消防庁 被害状況及び消防機関等の対応状況より)
対策
良質な住宅が長期に渡って良好な状態で使用されるためには、地域の災害リスクを踏まえ、被害の発生の防止や軽減への配慮をする形で認定を行うことが望ましい。このため土砂災害特別警戒区域のように、住民等の生命・身体に著しい被害が生ずる恐れがあると認められる災害の危険性が特に高い区域については、所轄行政官庁において原則として認定しないことを可能とすべきである。
以上から、土砂災害特別警戒区域内においては、質の高い住宅取得時に金利引下げを行うフラット35Sの利用ができなくなる。
通常のフラット35は利用できる。
国交省は2021年度中に具体的な時期を調整する。
将来マイホームを建築される方にとってどんな影響があるだろうか。
長期固定金利での優遇措置に魅力を感じる方にとっては影響も有るだろうが、現実には民間金融機関でも低利住宅ローンが登場しており、大きな影響は少ない。
土砂災害特別警戒区域ではそれなりの対策(一定の基準満たした擁壁の設置等)をとれば建築できる。安全のための対策をとっていても優遇措置が受けられないことへの批判も出てきそうだ。
土砂災害特別警戒区域に土地をお持ちの方は益々売却が難しくなる。
相続して初めて土砂災害特別警戒区域に指定してあることを知り、売却が難しいことに気づく方も多く、売却相談を受けるが、売却は難しい場合が多い。
相続不動産についての相談は「広島相続不動産コンサルティングオフィス」へ
資料等
国土交通省 社会資本整備審議会住宅宅地分科会・建築分科会
既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成及び消費者保護の充実に関する小委員会
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s204_kizonjutakuryutsu.html
【フラット35】Sとは、【フラット35】※をお申込みのお客さまが、省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得される場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度です。
フラット35
https://www.flat35.com/loan/flat35/index.html
フラット35S
https://www.flat35.com/loan/flat35s/index.html