8月26日(日)付日経新聞朝刊のトップに掲載された記事に驚く
高齢化の進展で認知症患者が保有する金融資産が増え続けており、2030年度には今の1.5倍、215兆円に達する見込み。
何が問題か、認知症と診断されると、口座が凍結されるのだ。
これは銀行と呼ばれる金融機関だけではない。証券口座も同様だ。
認知症と診断された親を老人ホームへ入居するため、家族が親の入居費用の支払いに、親の口座からその資金を引き出そうとしても、金融機関は「本人の意思確認が出来ない」事由で預金を引き出してくれない。
生活費さえ引き出せないのだ。
認知症の親に代わって財産を管理してくれる仕組みが「成年後見制度」である。上のような老人ホームへ入居する費用や生活費を成年後見人が管理して引き出してくれる。
成年後見人は家庭裁判所へ申し立てることにより弁護士や司法書士が選任される。ただ、この成年後見人には月額2万円から8万円の報酬を支払わなければならない。以前は家族が成年後見人になることが多かったのだが、使い込みが多々見受けられ、最近は弁護士や司法書士が選任されるようになった。
成年後見人が選任され財産を管理してくれるようになっても、基本的に可能な限り財産を減らさないのが成年後見人の役目なので、認知症の親の代わりに株を運用することは出来ない。
ここで不動産の問題もある。認知症の親がマンションやビルのオーナーなら、節税対策や相続対策に賃収物件を建築したり、売却するような事も出来ないのだ。
生活するうえで必要最小限の金額しか使えない。
これが日本の経済を益々悪くする。
孫にお小遣いをやったり、ちょっとした旅行をしたり、たまにはフレンチレストランで食事をしたり…そんな普通の生活(消費)をすることで経済は回る。
しかし、認知症の高齢者が増えると経済は回らない。これに国は危機感を抱いている。
そこで、最近注目されているのが「家族信託」である。
認知症が発症する前に家族で財産をどう引き継ぐか、どう活用するかを話し合い、財産の管理を子供に託すのだ。
皆さんご心配なら、子供が暴走しないように監督人を付けることもできる。
「家族信託」については詳しい説明がこちら(広島家族信託相談プラザ)のホームページにあるので参考にしてほしい。