既に分譲マンションにお住まいの方はよくご存知のことと思いますが、住んだことのない方は分からない事も多いと思います。
このシリーズでは、分譲マンションとは、区分所有法、敷地の権利と敷地権、管理組合と管理会社、管理費等と修繕積立金、マンションの構造と音の問題、長期修繕計画と大規模修繕工事、マンションのメリットとデメリット等について書いていこうと思います。
第4回目は「管理組合と管理会社」について書いてみます。
管理組合とは
新築マンションが分譲されると管理組合が設立され、部屋を買った人(区分所有者)は全員管理組合の組合員になります。
マンション法(建物の区分所有等に関する法律)第3条によると
「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」
とあります。
新築分譲マンションが完成し入居が始まると、販売会社が初めての管理組合の総会を開催し、今後の管理組合運営方法や委託する管理会社との管理委託契約について説明があります。管理会社からは受託する管理委託契約の仕様等について説明があります。
中古で購入した場合、管理組合や管理会社の連絡先などを不動産仲介会社が重要事項説明で説明してくれますが、契約時は緊張もしているだろうし、売買契約のことで頭がいっぱいであり覚えていない方が殆どではないだろうか。
マンションの管理組合は、マンションに住んでいる人々が共同で建物や共有施設の管理を行うために結成される団体です。マンションの住民(区分所有者であり、組合員である)が集まり、共有の問題や決定事項について話し合い、適切な管理や維持を行う役割を果たしています。
管理組合の役員
管理組合は、区分所有者全員が組合員となり、区分所有者から選挙で選ばれた者が管理組合の役員として運営をします。役員には、理事長や副理事長、会計係、理事などが含まれることがあります。これらの役員は、管理組合の運営を担当し、区分所有者の利益や共有施設の維持管理に努めます。
管理組合の役割
管理組合の役割はいくつかあります。
まず、共有の施設や設備の管理です。例えば、エレベーターや廊下、駐車場、共用の庭園やプールなど、住民全員が利用する施設を管理し、必要なメンテナンスや修繕を行います。
管理組合は、マンションの維持や修繕に関する計画や予算を策定します。建物や共有部分の修理や改装、防災対策など、大切な事項を区分所有者と協議して決めます。そのため、予算の使い道や修繕工事の契約などについて、住民の意見を聞いたり、組合総会で決定することもあります。
管理組合は、マンション内でのルールや規則を策定し、住民の安全や快適な生活を確保します。例えば、騒音の制限、ゴミの分別ルール、ペットの飼育に関する規定などがあります。これらの規則は、区分所有者の合意のもとに作られ、守られることで、共同生活を円滑に進めることができます。
管理組合は、住民の声や要望を反映させるために重要な役割を果たしています。住民は、管理組合の役員に対して問題や提案を伝えたり、意見を述べたりすることができます。そして、役員は住民の要望を受け止め、それに基づいて適切な対応や改善策を検討する役割を果たします。例えば、共有施設の改善や新たなサービスの導入など、住民の声に応じてマンションの環境や生活の質を向上させる努力を行います。
管理組合は、定期的に組合総会を開催します。組合総会では、管理組合の役員が報告や説明を行い、重要な決定事項について区分所有者の意見を集めます。総会では、予算の承認や重要な決定の投票、役員の選任などが行われます。組合総会は、区分所有者が直接参加し、管理組合の運営に関与する機会となっています。
管理組合は、必要に応じて専門家や業者と連携して業務を行います。例えば、修繕工事や法律問題の相談、会計業務などは、専門の業者やアドバイザーに依頼することがあります。これにより、より効果的な管理や専門知識を活用した運営が可能となります。
最後に、管理組合は公正で透明な運営を心掛けることが重要です。役員は区分所有者の代表者として、マンション全体の利益を考え、公平な意思決定を行う責任があります。住民の声に耳を傾け、適切な情報の共有や意思決定プロセスの透明性を確保することが求められます。
以上が、管理組合の概要についての説明です。管理組合は、共同生活を円滑に進めるために重要な存在であり、住民の声や区分所有者の参加が管理組合の運営に大きな影響を与えることを覚えておいてください。
最近では管理組合の役員不足が問題になっています。
しかし、マンションの運営には管理組合員全員の協力が欠かせないのです。
管理会社への委託
マンションの管理組合が管理会社に委託する内容は、以下のようなものがあります。
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- 施設管理:
共有施設や設備の管理を行います。例えば、エレベーターや廊下、駐車場、共用の庭園やプールなどの日常的な清掃や点検、修繕、メンテナンスを管理会社が担当します。 - 契約管理:
管理会社は、必要な契約の管理を行います。建物の清掃業者や警備会社、メンテナンス業者などの契約締結や管理、業者との連絡調整を担当します。 - 会計業務:
管理会社は、管理組合の会計業務を担当します。予算の作成や管理、入居者からの管理費の集金や明細書の作成、経費の支払いなどを行います。 - 住民サポート:
管理会社は、住民からの問い合わせや要望に対応し、サポートを提供します。例えば、修理依頼や設備の利用予約、ルールや規則に関する問い合わせに対応する役割があります。 - 緊急対応:
管理会社は、緊急事態やトラブルの際に迅速に対応します。例えば、水漏れや停電、盗難被害などの緊急連絡先として対応し、必要な措置や業者手配を行います。 - 会議や報告書作成:
管理会社は、管理組合の役員会や組合総会の運営や議事録作成、報告書の作成などを支援します。役員と連携して会議の準備や運営、重要な事項の報告を行います。
- 施設管理:
これらは一般的な委託内容の例であり、マンションや管理会社によっては、さらに多くの業務が含まれる場合もあります。管理会社は、専門知識や経験を活かして、マンションの円滑な運営や住民の快適な生活をサポートする役割を果たします。
名称の使い分けについては以下のとおりです。
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- マンションの各部屋の所収者 = 区分所有者 = 組合員
- 区分所有者とその家族や賃貸借契約の賃借人等 = 住民
参考
建物の区分所有等に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069
国土交通省 マンション管理業について
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000253.html
公益社団社団法人マンション管理センター
https://www.mankan.or.jp/
マンション管理業協会
https://www.kanrikyo.or.jp/