分譲マンションを学ぼう vol.5

既に分譲マンションにお住まいの方はよくご存知のことと思いますが、住んだことのない方は分からない事も多いと思います。

このシリーズでは、分譲マンションとは、区分所有法、敷地の権利と敷地権、管理組合と管理会社、管理費等と修繕積立金、マンションの構造と音の問題、長期修繕計画と大規模修繕工事、マンションのメリットとデメリット等について書いていこうと思います。

第5回目は「管理費等と修繕積立金」について書いてみます。

管理費と修繕積立金

管理費

管理費は、マンションを所有している人々が共有の部分を使うために毎月払うお金です。これは、マンションの共有部分や施設の維持と運営に使われます。具体的な内容は以下の通りです。

      • 清掃費:共有の廊下やエントランス、エレベーターなどをきれいに保つためにお金が使われます。
      • 警備費:セキュリティや管理のために、警備員や監視カメラなどが維持されます。
      • エレベーター費:エレベーターの保守や修理に使われます。
      • 共有施設費:共有のプール、ジム、パーティールームなどの設備の維持に使われます。
      • 共有部分の照明や電力費:廊下や共有エリアの電気代も含まれます。
      • 管理会社の報酬:管理会社に支払われる報酬や各種手数料も含まれます。

管理費は、住区分所有者全員が分担して支払う必要があります。金額はマンションの大きさや設備によって異なります。

修繕積立金

修繕積立金は、将来の修繕や大規模な改修工事に備えるために毎月少しずつ貯金しておくお金です。具体的な内容は以下の通りです。

      • 建物の修繕:マンションの外壁や屋根、エレベーター、共有の配管など、時間が経つと劣化する部分を修理・改修するための資金です。
      • 共有部分のリニューアル:共有の部分や施設の改良・アップグレードのために使われます。例えば、新しいエントランスやプールの改装です。
      • 非常時の対応:火災や地震のような非常事態に備え、建物を安全に維持するための資金も含まれます。

修繕積立金は、将来の予想される修繕やメンテナンスのために、コミュニティ全体でお金を積み立てておくことが大切です。これによって、予期せぬ出費を一度にまとめて支払う必要がなくなり、マンションが長寿命で快適に保たれます。

要するに、管理費は日常の維持費用で、修繕積立金は将来の大規模な修繕や改修のためにお金を貯めるための積み立てです。どちらも住民全員の協力によって適切に管理される必要があります。

管理費と修繕積立金の重要なポイント

      • 支払い方法:管理費と修繕積立金は、通常、毎月の支払いです。マンションの管理会社または組合が金額を計算し、住民に請求書を送ります。住民は指定された期日までに支払う必要があります。
      • 金額の変動:管理費と修繕積立金の金額は、マンションの状態や設備の維持に応じて変動することがあります。大規模な修繕計画がある場合、修繕積立金の金額が増えることがあります。
      • コミュニケーション:住民は、管理費と修繕積立金の使途や予算について透明で明確な情報を求める権利があります。住民集会や報告書を通じて情報を共有し、住民の理解と協力を促すことが大切です。
      • 適正な使用:管理費と修繕積立金は、マンションの維持と住民の快適な生活のために使われます。無駄遣いを避け、資金を適切に管理することが重要です。
      • 予算計画:マンションの管理会社や組合は、長期的な予算計画を立てることがあります。これには将来の修繕予定(長期修繕計画)や大規模なプロジェクトに必要な資金を確保することが含まれます。

管理費は日常の維持費用で、修繕積立金は将来の修繕や改修のために貯金しておくお金と考えてください。マンション全体の共同作業によって、快適で安全な住環境を維持するための資金を確保し、協力し合うことが大切です。

注意すべき点

管理費と修繕積立金に関連して、注意すべき重要な点がいくつかあります。以下にその点を説明します。

      • 予算と透明性:区分所有者は、管理会社や組合から提供される予算と財務情報にアクセスできる権利があります。予算がどのように使われるのか、修繕積立金の使途が具体的にどうなるのか、透明で理解しやすい情報を提供することが重要です。
      • 貯金の必要性:修繕積立金は将来の予期せぬ出費に備えるために重要です。低い金額で積み立てると、将来の修繕に不足する可能性が高まります。適切な金額を積み立てることが大切です。
      • 緊急修繕への備え:突発的な修繕が必要な場合に備えて、緊急修繕基金を設けることが賢明です。緊急の修繕が必要な場合、この基金から支出できるため、住民の負担を軽減できます。
      • 予備予算と計画:管理会社や組合は、将来の修繕やメンテナンスの予算計画を策定し、適切な計画を持つことが重要です。これにより、予期せぬ出費を最小限に抑え、区分所有者に安心感を提供できます。
      • 区分所有者の参加:区分所有者は、管理会社や組合に参加し、予算やプロジェクトについて提案や意見を述べることができます。積極的な参加によって、コミュニティ全体の利益を考えた意思決定が行われます。
      • 法的基準の遵守:管理費と修繕積立金に関する法的基準や契約条件を守ることが不可欠です。法的義務を守ることによって、トラブルを避け、コミュニティ全体の安定性を確保できます。

これらの注意点を考慮し、管理費と修繕積立金を適切に管理することで、分譲マンションコミュニティは長寿命で繁栄し、区分所有者にとって快適な生活環境を提供できます。

修繕積立金不足問題

近年長期間外壁などが修繕されない老朽化マンションが増えており社会問題となっています。NHKでもスペシャル番組で報道されております。
新築時にしっかりとした長期修繕計画と修繕積立金の値上げ計画を立てることが重要です。
国土交通省が修繕積立金に関するガイドラインを発表しています。将来、修繕積立金がどの程度必要か参考にしてみてください。


「管理費等」の「等」については、管理組合によっては、マンションが位置する町内会の町内会費等が含まれる場合があるため、管理費等と表示しています。


参考

建物の区分所有等に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069

マンションの修繕積立金に関するガイドライン(2023年版)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001600153.pdf

 

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