貸家が余っている

不動産融資6年ぶり減

昨年、アパートローン失速

日経新聞2018年02月09日朝刊から

低金利下で伸びてきた不動産融資が鈍っている。

原因は個人が貸家を建てる際のアパートローンの大幅減。2015年の相続税見直しにより、相続対策や節税目的でアパート建設が急増したが、需給バランスを無視した新築貸家の増加に入居者が追いついていない。

新築貸家を含めて貸家の入居率が下がり不良債権化するなど、社会問題化していた。
未だに賃貸不動産投資を考えている方はポータルサイトで貸家を検索してみてほしい。こんなに空き家があるのかと驚くだろう。

サラリーマンが片手間に儲かるほど賃貸経営は甘くない。

専業で賃貸経営をして儲けている大家さんの努力は凄まじい。
軽トラを毎日運転し賃貸物件のメンテナンスや清掃、入居者に声をかけて異常がないか確認している。

大家さんの中には入居者の誕生日にメッセージカードを届け、季節のイベント時に飾り付けをする。
募集時の飾り付けやステージングもそうだが、常に入居者がとどまる(退去していかない)努力を続けている。

駐車場が余ってきた

ビル駐車場、設置義務緩和

都市部で車離れ 空き拡大

日経新聞2018年02月04日朝刊から

日経新聞の記事ではオフィスビルの話だが、実は分譲マンションでも同じような状況にある。
広島でも建築後20年以上経過したマンションで駐車場が余ってきたところもある。
高齢化が進み車を手放す方が増え、駐車台数が減ったのだ。若い世代では車を待たない世帯もある。

機械式の駐車場の場合、メンテナンス費用が高額で、30%~40%以上空きが出ると赤字になるところも。
そこで機械式駐車場を撤去して平面駐車場に変更したところ、駐車台数が減ったにも関わらずメンテナンス費用が不要になったため赤字解消に。
このマンションは居住者(管理組合)が問題意識を持ち解決できた良い事例である。しかし、管理組合が無関心な場合、無駄なメンテナンス費用を払い続ける羽目になる。

中古マンションを購入しようとされる方は、過去の管理組合通常総会議事録、決算書、修繕記録などを事前に取り寄せてそこに住む居住者(管理組合)が正常に機能しているかどうか確認すると安心である。

景気判断2期連続上げ

中国地方10月から1月「緩やかに回復」

2018年2月1日付中国新聞朝刊記事

中国財務局の辻庄市局長は31日の全国財務局長会議で、中国地方の2017年10月から1月の経済情勢を「緩やかに回復している」とし、2期連続で判断を引き上げた。リーマンショック前の08年4月以来、約10年ぶりの前向きな判断となる。
2018年2月1日付中国新聞朝刊の記事から

広島はマツダが好調なのでその下請けも悪くはないだろう。
個人消費もスーパーやドラッグストアは好調、住宅建設も伸びており、不動産分譲会社は仕入れたくても土地がないと嘆く状態。

昔から二八(ニッパチ)と言って、2月と8月が景気が悪い(物が売れない)と言われる。
さて、1月から4月の判断が楽しみ。

参考
「二八(にっぱち)」って聞いたことありますか?
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20160802hitokoto.html

「不動産テック」育成

国交省は不動産にテクノロジーを融合させた「不動産テック」を育成する

AIを使った価格査定やVRを使ったバーチャル建物内覧などの開発に100万円を補助


2018年1月31日付の本経済新聞記事

弱小企業でAI技術の価格査定システム開発はほぼ無理。普通に価格査定システムを作ってもらっても100万円位すぐに飛んでしまう。
逆にVRなら市販の360度撮影カメラですぐに実現する。既に簡単に作成できる仕組みが整っており、多くの業者が利用している。

郊外の空き家を売りやすくするのが目的であるが、そもそも価格が低く採算性に乏しい地方物件を大手や中企業は取り扱わない。
地元小業者や個人の不動産業者が取り扱っているが、AI価格査定システムを開発出来るような暇も人材も居ない。

VRで見られる物件だが、除草され、内部が綺麗な建物や整理整頓が出来ている建物ならそれなりに見栄えして効果もあるだろうが、親が無くなるまで住んでいた建物で、そのまま家財などが残っており、長期間空き家で蜘蛛の巣やホコリだらけの荒れた建物を誰が見たいと思うだろう。

結局、地元業者が骨を折り、相続人の売主を説得して、除草や片付け、掃除を依頼し商品として見栄えを良くして地道に買主を探している。成約するまでは無償で動いているのだ。成約しても400万円以下の成約では最大18万円(税別)の仲介手数料しかいただけない。しかし、そう簡単に成約に至らないのが現実。

実家の土地建物を売りたいと思っている方、上のように売れるならたとえ10万円でも良しだ。
先日NHKの番組もあったが、無償でも良いから引き取って欲しいのに、引き取り手が居ないのだ。
固定資産税や管理維持費を一生涯負担していく事を覚悟したほうが良い。

 

都市再生特別措置法改正案が出てきたが…

2018年1月26日付中国新聞朝刊トップの記事によると
政府は「都市再生特別措置法改正案」を策定し今国会へ提出とある

2018年1月26日付中国新聞朝刊
2018年1月26日付中国新聞朝刊から

その中身は
1.住宅地で空き地を統合し広場や集会所にする際空き物件の持ち主とその周りの地域住民が協定を結ぶ。協定を結んだ空き地は相続の際も長期活用できる仕組みを創設。
協定は市町村が認定し、有効期間内は相続や売買があっても土地を引き継いだ持ち主にも効力が及ぶ。

2.協力する空き物件の持ち主へは飴として固定資産税を最長5年間3分の2に軽減。

3.施設の維持管理は市町村が指定するNPOなどに委託することが条件。

4.空き物件の使い道は、駐車場、防犯灯、自治体の案内板も検討で整備費の負担や賃貸料の有無は話し合いで決める。その際整備費の一部が補助される場合もある。

5.これらはコンパクトシティー構想の区域内での取り組みが対象。

6.その他、価格が安く不動産会社が仲介を敬遠するような空き物件の活用に向け自治体が調整役を担う制度も導入
である。

さて、1から5まではコンパクトシティー構想区域内という事で、主要駅周辺など都市化された地域が対象である。従って田舎は対象外なのだ。コンパクトシティー構想区域内であっても、都合よく広場になる様な隣同士で空き地があるとは思えないし、数多くの広場や集会所は不要なので、活用できるのはほんの一部となる。飴もショボい。僅か5年固定資産税を3分の2に軽減されてもその後は高い固定資産税を負担しなければならない。
コンパクトシティー構想区域を外れた地域の方が遥かに空き家が多いのだが、それは対象外。

6にしても不動産会社が敬遠するのは価格だけが原因ではない。流通市場が乏しいからだ。
根本的にコンパクトシティー構想区域外の空き家を自治体が斡旋する事はコンパクトシティー構想と矛盾する。

 

参考
コンパクトシティとは(コトバンク)
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC-154538

国土交通省『集約型都市構造の実現に向けて』
http://www.mlit.go.jp/common/000128510.pdf

広島市都市計画マスタープラン(改定素案)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1368142863828/files/toshi_mas_soan_outline.pdf

民法改正要綱案発表、新たに居住権創設他、法制審議会まとめ。

平成30年1月16日に法務大臣の諮問機関である法制審議会が民法改正要綱案を出しました。親の面倒を見てくれたお嫁さんにも法定相続分を付けようとか、配偶者の法定相続分を増やそうという案が出ているという改正案記事はこれまでも出ていましたが、『居住権という新たな権利創設』には、正直かなりびっくりし、大いに考えさせられました。

2018.1.17 中国新聞朝刊

簡単に言うと、母親一人、子一人の場合、法定相続分はそれぞれ2分の1ですが、父親死亡後、母親がその家を相続し住み続ける場合、家の相続評価額が全体の2分の1であれば、残る金融資産など2分の1は子供が相続となり、母親に生活していく資金が確保できないため、『居住権として、配偶者の生活住居を確保した上で、金融資産の確保もできるようにする』制度です。

通常、残る母親の生活は子供が扶養するのが当たり前で、『そもそも母親の生活費をなくしてまで子供が法定相続分を取ってしまうことなんかない。』と、思われる方がほとんどだと思います。なぜ、このような制度が必要になってきているかというと、再婚により後妻と前妻の子供の仲が、うまくいっていないケースが多いからです。子供にしてみれば、後妻を嫌っていた場合、父親が死んだら家から追い出そうと考えているケースも多いのです。

この他にも、『自筆遺言書を法務局が預かるサービスの開始』や、配偶者が遺言や生前贈与で居住用財産を取得している場合、『相続財産から切り離し、分割協議の対象にしない』など画期的な案となっています。この改正案は1月開会の通常国会に民法改正案、関連法案として提出される予定です。

この他にも、民法は大きく改正されてきています。しっかりと勉強・理解をして、トラブルを防ぐご提案に努めてまいりますので、お気軽にご相談にお越し下さい。

土地相続登記の義務化を法務省が検討

2017年12月29日付日本経済新聞朝刊に

政府は所有者不明の土地や空き家問題の抜本的な対策に乗り出す。現在は任意となっている相続登記の義務化や土地所有者の放棄の可否などを協議し具体策を検討する総務省は早ければ2018年にも民法や不動産登記法の改正を法相の詰問機関である法制審議会に諮問する方針だ。
政府は年明けに関係閣僚会議を開いて検討作業を急ぐ。

2017年12月29日付日本経済新聞朝刊を引用

の記事が一面トップに掲載されていた。

 

所有者不明土地の増加は、相続人が税負担を避け登記手続きをしないことが要因になっている。
現行の法制度では、相続登記が任意であり登記しない事への罰則も無い。

増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会によると、

2016年時点で不明者土地が九州を上回る約410万ヘクタールあり、2040年には北海道の約9割の720万ヘクタールに達するとの推計を公表している。これらの経済損失は約6兆円と見積もっている。
同研究会は、2017年12月13日、所有者不明の土地の解消に向け現在は任意となっている相続時の登記を義務化すべきだとの政策提言をまとめた。居住地と離れた土地を相続し、管理や利用が困難になった場合に備え、所有権を手放すことができる制度を設けるなど有効活用を求めた。

2017年12月14日付毎日新聞新聞朝刊を引用

この提言を元に政府が動いたのだ。

では、相続登記が義務化されるとどうなるか予想してみる。

1.登記費用の大幅な減額
相続の登記にかかる費用が高い事により、登記が行われない原因の解決としては、負担の軽減が必要だからだ。

2.相続をしない選択が可能になる
相続をしても管理が出来ない場所であれば、相続したくない方も多く登記が行われない原因となっている。
相続せず、地方公共団体などに寄付出来る様にすれば、解決する。

3.相続登記を実行させるには
相続が発生したら登記を促す仕組みが必要。罰則が出来る可能性がある。

一般的に法改正されても遡って適用されることはないため、今の空き家問題は解消されない。しかし、相続登記を放っておくことは子や孫ばかりか、子孫に大きな迷惑を掛けることになる。
直ぐにでも相続登記はすべきだ。

2018年の不動産市場

政策と法改正の影響

国は2025年までに中古住宅流通市場とリフォーム市場を倍増させる方策を掲げており、2018年の活性化策が追い風になる。

宅地建物取引業法改正により、媒介契約、重要事項説明書、売買契約書へ建物の診断の斡旋や診断結果の有無について説明が必要となった。
これにより中古住宅の売買時に住宅診断をする機会が増える。買主が安心して購入できるとともに売主も解約完了後に不具合が見つかってトラブルに成ることを防げるのだ。
診断の結果、一定の条件を満たす住宅には瑕疵保険が付保出来ることも買主にとって安心材料となる。

低金利

昨年の衆議院選挙で自民党が圧勝したため、日銀は自民党の意向を汲んだ金利政策を続けるものと思われ、低金利は続くであろう。
不動産を購入する者にとっては低金利はありがたい。

2018年は

以上から北朝鮮の動向にもよるが、今年も都市部の不動産市場は取引が活発で価格も緩やかに上昇していくものと思われる。

一方、地方は益々空き家、空き地が増加し、売りたくても売れない不動産「負動産」が増えていく。
固定資産税の負担、維持管理費の負担、建物解体費の負担の負動産である。
田舎の不動産は売却しての現金化は諦めて無償で譲る位の心構えが必要。手放すのが早ければ早いほど負担が少ない。

一部の地域で土地の固定資産税が上がる?

12月6日の中国新聞の記事によると

固定資産税を算定する際の基礎となる基準宅地の評価額が発表されました。
広島市・安芸郡府中町と海田町・呉市・東広島市・廿日市市で上昇、その他は下落しましたが下落幅は縮小。
広島市と言っても全てが上昇したわけではなく、都心部や都心に近い住宅地が上昇しました。
基準宅地が上昇したところは固定資産税や都市計画税が上昇するところも。

地価は都心部と山間部とで二極化しています。
不動産も動産と同じで需要と供給のバランスで地価が決まります。
需要(不動産を欲しい人)が多い地域では地価が上昇し、需要が低い場所では地価が下がります。
大きな商業施設が出来たり駅が出来ると人が集まりますので需要が増して地価が上がります。
街に魅力が増すと同様です。広島駅とその近辺に商業施設が増えて広島駅近隣は地価が上がりました。
一方、山間部では需要がありません。欲しい人がいなければどんどん地価が下がります。

不動産売却におけるリスク対策の基本

不動産売却後のトラブルの殆どは

買主が物件や環境について「聞いていなかった」や「知らなかった」事です。

売主がしっかりと買主に伝えれば防げる事なのです。

トラブルを防ぐ事を「リスク対策」と言います。

売主は仲介する不動産会社(の営業マン、そして購入を検討する買主)に住宅の不具合や買主にとって不利益な情報について正確に伝える義務があります。

でも、言い忘れとか聞き忘れもありますよね。

不動産会社(の営業マン)が売主さんに適確なアドバイスをして、書面(私達が用意します)でその確認をする事により多くのトラブルは回避出来ます。

購入を検討する買主に予めその書面を提示して納得のうえで購入してもらえばトラブルになりません。

相続した不動産を売却する場合は、家の事(不具合)が分からない事もあるでしょう。
そんな時は、住宅診断(ホームインスペクション)を依頼します。
家の隅々まで検査をして貰い、予め不具合を知る事で買主へそれを伝えれば大丈夫。

リスク対策は

売却を依頼する方も頼まれる不動産会社もしっかりとコミュニケーションを取る事が大切なのです。

by 香川文人

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